この曲線を多用したコーヒーセットは、エルゴノミック（人間工学）デザインの先駆者的存在として知られているルイジ・コラーニのデザインによるものです。 私はエルゴノミックデザインというものをあまり好きではありませんが、コラーニの造り出す独特の形にはハッとさせられるものがあります。このポットは見かけによらず、ふたの窪み部分が丁度取手を持った親指で押さえることができ、片手でお茶を注ぐことができます。カップは底部が丸くなっているので、それ自体では自立できず、ソーサーの窪みにすっぽりと納るように出来ています。ここで紹介しているもの以外に同シリーズとしてシュガーポットやクリーマー、コーヒーカップとケーキ皿はもう１種類づつあります。
21世紀を超えて使い続けられることを願い、OVO 2001 COLLECTIONは、京都のたち吉から販売されました。その製品タグには以下のような言葉が記されています。
「もし、1万年後、人間の手と口が変わったならこのデザインを変えよう」ールイジ・コラーニ
残念ながら、コラーニの思いも空しく、21世紀を迎えずに生産を終了しています。製造が難しく、採算が合いそうにないのは分からなくもないですが、是非、復刻して欲しいと思います。

Luigi Colani　 (ルイジ・コラーニ) 1928−
ドイツベルリン生れ。1954年ジュネーブカーデザイン・コンペティションにおいて、フィアット1100tvがゴールデンローズ賞。1968年レダにおいて、デザイン会社を設立。1982年から日本で活動。CANON、SONY、MAZDA、HONDA、たち吉等で数々のデザインを手掛ける。1985年筑波万博にてコラーニロボット。1989年スイスチューリッヒにてColani Trading AG設立。
大きいものではスペースシャトルや航空機、機関車、小さなものはチョロQや石鹸など巾の広いデザイン活動をしています。
ベンツ、BMW、ポルシェやNASA等のコンサルタントもつとめている。NASAのロゴもコラーニ氏のデザイン。